札幌の古本屋の窓辺から 〜古書出張買取りの書肆吉成

北海道札幌市の古書店・古本屋です。専門書・学術書・美術や趣味の本など古本古書を買取ります。出張買取もしております。
札幌市東区北26条東7丁目3−28 011−214−0972
 ■札幌の古本買取専門店 書肆吉成  

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   メール yosinariアットsnow.plala.or.jp
  電話 011-214-0972   携帯 080-1860-1085
  FAX 011-214-0970
  営業時間・平日10時〜18時(日祝は12時〜18時)

 古本古書出張買取り致します。
 お気軽にご連絡下さい。
 
東区本店でアルバイトを募集します。古本屋の一日。

書肆吉成では、現在アルバイト店員を募集しております。

本が好きな人、古書店業に興味がある人はぜひご応募ください。

 

仕事内容は古書店業務全般となります。

古本屋の一日はだいたい以下の通りです。


朝は店内外の清掃にはじまります。モップがけ、雑巾がけ、トイレ掃除、(はたきをかけるかわりに)ブロアーで本のほこりを飛ばします。本のほこりを落としながら、店内のどこにどんな本があるのかを復習します。夏場はそとの除草、冬場は雪かきもあります。
お店は10時開店です。時間になったらシャッターを開けます。

節電の為2階はふだん電気をつけず、来客があれば「いらっしゃいませ」の掛け声とともにすぐさまスイッチを入れて2階を明るくします。お買い上げのお客様にはレジで商品と代金のやりとりをします。お客様の「こんな本が欲しいんだけど・・」「こんな本を売りたいんだけど・・」などご要望に受け答えをする接客があります。

お客さんがいないときは、精算レシート、領収書、買取伝票をノートに張り付けるといった簡単な事務作業や、本棚の整理もあります。

 

しかしなんといってもいちばん多く手間がかかるのが古書の通信販売業務です。

PCを起動してメールをチェック。

注文状況や、問い合せの有無を確認します。

注文のあった本を書架から取り出してきて、本の状態を確認します。登録のときに入力した状態と異なる瑕疵が見つかった場合はお客様に知らせるなどの対応が必要となります。「日本の古本屋」サイトからの注文は、お客様に送料を案内します。札幌市街のIKEUCHI GATE6F店、江別市、恵庭市にある支店や倉庫とメールのやり取りが必要になることがあります。

精算がすみ注文が確定したら梱包です。納品書を同封してビニール袋とクッション材と茶封筒に注文書を包み、そのうえに宛名を貼ります。注文数が多いときはひたすら梱包の単純作業がつづきます。

夕方前には集荷の人がくるので、それまでに梱包のできた商品を重さごとに数えて表に記入し、お客様へは出荷の案内通知を出します。これが受注・梱包・発送の作業です。

通信販売業務はそれだけではありません。本の登録があります。

最初はぞうきんタオルで本の拭き掃除をしながら状態を確認し、線引きや書き込みがないかをチェックします。慣れてきたら値付けもしてもらいます。いくつかのサイトを参考にしながら状態に合わせた価格を決定していきます。登録した本に値札を貼り、ジャンル毎に店内の本棚に陳列します。

 

そのほか、店頭には本を売りたいと言うお客様が本を持ちこんで下さいます。買取です。

買取価格の査定は、販売価格の値付けより難しいので、これはほとんど店主の吉成が担当しています。

店主が出張買取などで店を留守にしているときは、冊数が少なければ店主に電話で本のタイトルや状態などを伝えて査定額を決定します。冊数が多ければお預かりさせてもらえるか諒承をいただき、後日査定額をご案内して精算します。

買取査定の難しい傾向の本と、慣れれば簡単な傾向の本があります。

簡単なものから査定もできるように、時間をかけて覚えてもらいます。

 

ほか、途中に休憩や銀行や郵便局での記帳(精算確認)をはさみながら、

たくさんの本をあっちに持っていったりこっちに持っていったりする仕事が日常的につきまといます。

本の詰まって重くなった段ボール箱を運ぶのはけっこうな力仕事です。

 

このようにして、古本屋の一日は意外と忙しく時間が過ぎてゆくのです。

一日の終わりは、レジを精算し、出勤簿を記入し、電気を消し、火の元、水の元を確認したらシャッターをしめて施錠。これで18時です。

 

これに加えて冬になれば雪かきがあり、数カ月ごとにチカホなど市内各所で行われる「古本市」の準備や設営・運営にかりだされることもあります。

 

以上のとおり、暇なイメージのある古本屋さんですが、じっさいは結構いそがしく、また業務内容が多岐にわたります。

知的労働もあれば、単純作業もあり、事務作業も若干ありますし、接客もする。さらに力仕事まであるのです。

こうやってあらためて文章にしてみると、いやはや、大変ですね。

本が好きだから、古書の世界に興味がある、・・・仕事は大変かもしれないけど、やってみたい! という方がいらしゃっれば、嬉しいです。

 

古本屋の仕事をとおしてたくさんの本に触れ、本の世界の広大さと奥深さを学びながら、一冊でもおおくの本をあたらしい読者のもとへと送り返すことができるよう、ぜひいっしょに働きましょう。

意欲のある人のご応募をこころよりお待ちしています。

 

 

勤務地 札幌市東区北26条東7丁目3−28 書肆吉成店舗

時間 9:00〜17:00 休憩45分 週4〜6日。月24日前後の勤務

募集人員 若干名

時給 850円〜(試用期間3カ月は835円)。昇給あり

労働保険(労災保険・雇用保険)加入

交通費 実費支給

車通勤OK

メールか電話にてご連絡ください。店頭で面接をします。

電話 011−214−0972(営業時間内にお願いします。平日・土曜日は10時〜17時。日曜・祝日は12時〜17時)

メール yosinari@snow.plala.or.jp

| - | 19:43 | - | - |
くすみ書房の本棚のこと

くすみ書房から引き継いだものがある。

ねずみ色のスチール製の本棚だ。

東区本店とIKEUCHI GATEの2つの店でぎっしりと本を並べているそれらは、

くすみ書房大谷地店が閉店するときに貰いうけた。

2015年6月。突然のクローズの報せに、皆が驚いたあの日からすでに3年が過ぎ去った。

 

IKEUCHI GATE6F店のねずみ色の本棚には茶色いサビがういている。

ピカピカだったくすみ書房の棚は、この店ができるまでの約2年半のあいだに札幌市内の車庫、アパートの一室、小樽市の一軒家と場所を移し替えたが、そのなかで棚は急速に古びていった。

サビが出始めたことに、私はとちゅうから気づいていたが、そのときはどうすることもできなかった。

わざわざ久住さんにお願いをして貰いうけたものだが、じっさいには本棚を設置する場所がなかったのだ。

使う予定のない本棚は、大量の鉄の固まりとして倉庫の暗がりのなかで沈黙していた。

置き場所に困るといえばその通りで、持っているだけで毎月家賃がかかるのだから、早々に処分するのが通常だろう。

しかし、私はそれを捨てる気になれなかった。

どうにかして、生かしたかった。

もう一度この本棚に本を並べたかった。

 

「鉄製の本棚は冷たいかんじがして好きじゃないんだ」

くすみ書房が経営危機に直面したとき、打開策としてクラウドファンディングで資金を集め、それで店内のリニューアルをおこなった。

目玉は、木製の特注本棚の設置だった。

くすみ書房を訪ねると、いつも久住さんは私に今後の展開、構想を楽しそうに話して聞かせてくれた。

そのときは、どこかの書店の写真を見せてくれながら、こんな本棚を作ろうと思っているんだ、と教えてくれた。

その本棚は大きい枠組みで背板がないため本棚の向こう側が見える造りになっていた。

明るく、温かみがあり、風通しのよい本棚に、本がゆったりと、丁寧に並んでいた。

 

鉄製の本棚は棚の高さが変えられるので、効率的に本を並べることができる。

文庫本の高さ、単行本の高さにぴったりと合わせられて、滑りもいいので本の入れ替えも楽だ。

しかし、木製の棚はそうはいかない。決して効率的ではない。

にもかかわらず、久住さんは木の本棚のぬくもりを選んだ。

 

くすみ書房の閉店を惜しむ人でごった返すなか、

私は忙しそうに行き来する久住さんを掴まえて、

図々しいお願いですが、この鉄製の本棚を頂戴できませんでしょうかと、申し入れたとき、

久住さんは嫌な顔ひとつせず、二つ返事で了承してくれた。

私は、背が高くて本をたくさん並べられるタイプの本棚だけ貰えれば、自分の店や倉庫で効率的に本を保管できると思っていた。

ところが久住さんは、背の低い本棚や、雑誌の表紙面を陳列する棚を指さして、これも持っていくよね、と当然のように言った。

今度は私が二つ返事をする番だった。

 

いよいよくすみ書房の閉店時間が過ぎたとき、久住さんは最後まで残ったお客さんに向かって挨拶をしたようだが、私は立ち会わなかった。

私はどこかで「まだ終わっていない」と思っていた。

終わらせてはならない、閉店の言葉など、この耳に入れてはならない。

なぜなら、私はこの本棚で、これからも本を売り続けるのだから。

 

本棚を解体して、どうにか手配した車庫に運び出す作業は夜中おこない、記憶ではたしか二晩を要したはずだ。

木製の特注本棚については、また書店を再起したときに使うつもりだからこれはあげられないよ、と久住さんから言われたとき、うれしかった。

くすみ書房が再起できる目算があるのだと思ったから。大きな希望を感じた。

しかし、その後くすみ書房の倒産が報道され、負債総額が約5億円と知ったときは心臓が飛び出るほどに驚いた。

再起なんてできるのか・・・?

それからはきっと何かと忙しいだろうと、こちらから久住さんに連絡をとるのを控えた。

本当のことをいうと、どんな顔して会えばいいのか、わからなかったのだ。

 

翌年8月、書肆吉成はわずかな距離だが(道路を挟んだ斜め向かいへ)移転することになった。

その際に、車庫やアパートの一室に詰め込んでいた本棚の一部は移転先で利用することができた。

はじめは人目につかない倉庫で利用するつもりだったから、お客さんの目に触れるお店で使えることになっただけでも望外の喜びがあった。

しかしなお、新しい店に設置できなかったもの、背が低い棚、雑誌を面出しする棚が倉庫に残された。

 

その翌年、2017年2月23日。私はひさしぶりに久住さんに電話をした。

本棚のお礼をしたかったのだ。円山茶寮という喫茶店で会うことになった。

久住さんはちょうどその前月頃かに裁判所での債務免除がおわったと言って、閉店からこれまでどんなふうに過ごしてきたか一通りを聞かせてくれた。すさまじい苦労があったことがわかるお話だったが、それでも久住さんは深刻がることなく、淡々と、ときにはユーモアさえ交えてお話してくれた。すごい精神力だとおもった。

さらに、これから出版社との直接取引で新しい本屋を作るつもりだと、今後の構想を話しはじめた。

ちかく京都へ本屋の視察に行いくと。店の名前も考えている。Books Greenというミシマ社の本があって、その名前がいい。

原稿も書いていることも教えてくれた。

 

半年後の葬儀で、私は号泣していた。

 

2018年2月、書肆吉成IKEUCHI GATE6F店がオープン。くすみ書房の本棚がすべて甦る。

このあたらしい本屋がはじまって、6ヶ月が経った。

 

2018年8月28日。久住邦晴さんの命日に、新刊『奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの』がミシマ社より刊行される。

その刊行を記念して、書肆吉成IKEUCHI GATE 6F店内ギャラリーにて「くすみ書房」展を開催。

そして発売日に合わせてトークイベントを開催する。

中島岳志さん、矢萩多聞さん、三島邦弘さん、クスミエリカさんが登壇する。

 

くすみ書房から、私はまだ引き継ぎたいことがある。

だから、久住さんがいったい何を考えていたのか知りたいと思う。

私もまた一人の「町の本屋」であり続けるために。

| - | 20:06 | - | - |
木下龍也×岡野大嗣「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ in SAPPORO」

木下龍也×岡野大嗣共著歌集刊行記念

「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ in SAPPORO」

 

7月7日(土)18:00〜 岡野大嗣×初谷むい(トークと朗読&サイン会)


7月8日(日)17:30〜 木下龍也×岡野大嗣・Opening Act石井僚一(トーク&サイン会)

 

参加料金

1日のみ/1000円(税込)

2日通し/1500円(税込)

※ともにトークレジュメ&お土産つき!

 

ご予約(書肆吉成)

電話011-200-0098(10:00〜20:00)

メール yosinariikeuchi@gmail.com

 

場所 書肆吉成丸ヨ池内GATE6F店

札幌市中央区南1条西2丁目18 IKEUCHI GATE 6F

 

 

木下龍也と岡野大嗣の共著歌集、『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』(ナナロク社)の作中舞台となる日付(7月1日ー7日)にちなんで、7月7日と翌8日に、札幌で刊行記念イベントを開催します。

スペシャルゲストは初谷むい、石井僚一!

書籍は、書肆吉成池内GATE店の店頭にて販売中です!

 

【著者紹介】

木下龍也(きのした・たつや)

1988年1月12日、山口県生まれ。歌人。2013年に第一歌集『つむじ風、ここにあります』を、2016年に第二歌集『きみを嫌いな奴はクズだよ』を出版。同じ池に二度落ちたことがある。

 

岡野大嗣(おかの・だいじ)

1980年1月1日、大阪府生まれ。歌人。2014年に第一歌集『サイレンと犀』を出版。反転フラップ式案内表示機と航空障害灯をこよなく愛する。

 

『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』(ナナロク社)

 

挿込小説:舞城王太郎
装画写真:森栄喜

装丁:大島依提亜
判型:B6判変形 上製 136ページ
定価:1400円+税
発刊:2017年12月
ISBN:978-4-904292-77-8 C0092

 

 

書店info:書肆吉成では本の買取をいつでも承っております。ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

| - | 11:32 | - | - |
書肆吉成 丸ヨ池内GATE店イベント情報7月・8月

書肆吉成 丸ヨ池内GATE

【イベント情報】  2018年 7月・8月 夏

 

 

宇佐見英治 言葉の木蔭 展 〜ジャコメッティの思い出に〜

7月1日(日)〜7月28日(土) 宇佐見英治の自筆原稿・絵葉書・写真・掲載誌を展示し、

ジャコメッティと「絶対の友情」をむすんだ宇佐見の、故郷スタンパへの旅を振り返ります。

 

宇佐見森吉 トークイベント 宇佐見英治スタンパへの旅

7月14日(土)16:00〜17:30  要予約500

文筆家・宇佐見英治の生誕100年を記念した書籍『言葉の木蔭 詩から、詩へ』(港の人)をめぐり、ご長男の宇佐見森吉氏をお招きしてお話を伺います。ジャコメッティや矢内原伊作との交流のいきさつ、北海道との関わり、そして宇佐見英治の特徴である明澄な散文の背後にどのような由来があるのかなどお聞きする予定です。

 

 

 

すずきまいこ絵本原画展

7月31日(火)〜8月23日(木)

すずきまいこ(えとぶん)『いつもおまえの気配をさがしていた〜クマと森とわたし〜』、『ぼく生きたかったよ…〜くまのおやこニコーとリコー〜』(かりん舎)の刊行を記念し、原画を展示します。

 

トーク&サイン会「クマと森とまいこのはなし」

 

8月5日(日)15:00〜 出演・すずきまいこ つぼいけいこ

つぼいけいこ朗読/すずきまいこトーク(聞き手・吉成秀夫)/本へのサイン会

参加費(ドリンク付)500円(税込) 要予約011-200-0098(吉成)

 

 

 

 

第1回無声映画を体験しよう! 「キートンの鍛冶屋」 活動弁士・飯村宏美

サイレント映画「キートンの鍛冶屋」(1922・米・約20分・DVD)を弁士が実況解説して上映。

8月24日(金)15:00〜、18:00〜(二回上映) 各回とも入場料800円 予約011-200-0098 協力螢泪張星撚莠

  

 

 

 

朗読講座  ゲスト講師 ニシムラタツヤ  7月22日(日)15:00〜 

バクの事務所(石橋玲、田中智康)による朗読講座。

今回は岐阜市で柳ケ瀬商店街を中心に100回を超える朗読会を開催するニシムラタツヤ氏をゲストにお話を伺うスペシャル版。

参加費500円( 要予約 )

 

 

朗読会 毎月第二日曜日15:00 7/8「走れメロス」

バクの事務所による朗読会。8月12日開催予定。無料。

 

 

ビブリオバトルin書肆吉成  7/15、8/19 (毎月第三日曜日) 聴衆参加・発表参加ともに無料

本の感想を伝えたい人、読書感想を聴いて本への関心・知識をひろげたい人、ご参加お待ちしております。

 

ビブリオバトルとは?→公式ホームページ http://www.bibliobattle.jp/

 

 

ふるってご参加ください。

 

書肆吉成 丸ヨ池内GATE店 札幌市中央区南1条西2丁目 IKEUCHI GATE 6F 10:00〜20:00  電話011-200-0098

| - | 16:44 | - | - |
宇佐見英治 言葉の木蔭 展 〜ジャコメッティの思い出に〜

生誕100

宇佐見英治 言葉の木蔭 展 〜ジャコメッティの思い出に〜

 

 

期間 201871日(日)〜728日(土)

時間 10002000

入場無料

内容 「法王の貨幣」自筆原稿、写真、絵葉書、掲載誌、書籍など

 

トークイベント

714日(土)16001730

出演 宇佐見森吉

席料 500円(ドリンク付き)

要予約 電話011-200-0098、メールyosinariikeuchi@gmail.com

 

 

宇佐見英治19182002)は、1960年に彫刻家アルベルト・ジャコメッティと親交をむすんだ文筆家です。宇佐見はその交流を珠玉の追悼文「法王の貨幣」に残しました。

本展は、宇佐見英治生誕百年の節目に刊行された『言葉の木蔭 詩から、詩へ』(堀江敏幸編・港の人)を記念し、「法王の貨幣」の自筆原稿や関連する写真、絵葉書、掲載誌などを展示し、1960年当時の矢内原伊作を仲立ちとした宇佐見英治とジャコメッティとの交流の軌跡をたどります。

 

言葉の木蔭 詩から、詩へ』をひもとく人はまずその端麗な散文に感動するのではないでしょうか。文章に余計な修辞はなく、物事の芯をまっすぐとらえる研ぎ澄まされた言葉が選ばれているのにもかかわらず、読者は情感豊かと言っていいような感覚が目覚めます。

晩年を知る、本書編者の堀江敏幸は、宇佐見英治の散文についてこう書き記しました。

「宇佐見英治の作品においては、どれほど物語の色を付けても、どれほど哲学的な言辞を連ねても、背後に詩人の眼が光っている」

本書がほとんど散文で構成されているにもかかわらず副題に「詩から、詩へ」とあるのは、この書籍にあるすべての言葉の木蔭にこの詩人の眼が貫かれていることを知らせます。

 

スタンパ。この簡素な響きをもつ地名が本展の鍵になります。宇佐見英治とジャコメッティのあいだの「絶対の友情」は、ジャコメッティの故郷であるスイスの小さな谷間の邑落への旅に結実します。

本展ではなによりもまず宇佐見英治の「文章」に出会っていただきたいと思います。そのなかで、ジャコメッティと交流し旅をする追体験をしていただければ幸いです。

 

7月14日(土)には、宇佐見英治のご長男の宇佐見森吉氏をお招きしてお話をうかがいます。宇佐見英治の全体像、北海道とのかかわり、そして散文の背後にある「詩人の眼の光」がなにに由来するのか、宇佐見氏の声の響きに時間の彼方の距離を探りながら『言葉の木蔭 詩から、詩へ』の世界を味わってください。

 

 

『言葉の木蔭』

著者 宇佐見英治

編者 堀江敏幸

出版社 港の人

発行年2018.3.23

ISBN 978-4-89629-346-3

定価 3200円+税

 

 

 

宇佐見英治(うさみえいじ)19182002

 

1918年、大阪に生まれる。詩人、文筆家。『同時代』同人として活躍、美術批評や翻訳も多数。とりわけ明澄な散文で知られる。『歴程』にも参加。明治大学教養部教授を務め、1988年定年。1982年『雲と天人』で藤村記念歴程賞、1997年宮沢賢治賞受賞。

『美術手帖』に寄稿したジャコメッティ紹介記事(1955年)を留学中の矢内原伊作に託したことが、矢内原がジャコメッティのモデルを務める最初のきっかけをつくった。片山俊彦、齋藤磯雄、辻まことらと親交し、その歿後は著作集等の編集に尽力。バシュラールやハーバード・リードの翻訳をてがけた。晩年は堀江敏幸と文通し年若い友人として深い信頼を寄せた。2002年死去。

 

 著書

ピエールはどこにいる 東京創元社 1957

縄文の幻想 先史芸術と現代芸術 淡交社 1974、平凡社ライブラリー 1998.6

迷路の奥 みすず書房 1975

石を聴く 朝日新聞社 1978.12

辻まことの思い出 湯川書房 1978.12、みすず書房 2001.9

夢の口 湯川書房 1980.4

雲と天人 岩波書店 1981.10

三つの言葉 みすず書房 1983.1

芸術家の眼 筑摩書房 1984.5

方円漫筆 みすず書房 1992.12

石の夢 自選随筆集 筑摩書房 1994.12

樹と詩人 自選随筆集 筑摩書房 1994.12

明るさの神秘 みすず書房 1997.9

死人の書 小説とエッセー 東京創元社 1998.11

見る人 ジャコメッティと矢内原 みすず書房 1999.9

海に叫ばむ 戦中歌集 砂子屋書房 1999.6

言葉の木蔭 詩から、詩へ 港の人 2018.3、堀江敏幸編

 

 共著

古寺巡礼京都 妙法院 三十三間堂 三崎義泉共著 淡交社 1977.6

古寺巡礼奈良 円成寺 田畑賢住共著 淡交社 1979.2

対談ジャコメッティについて 矢内原伊作 用美社 1983.10

一茎有情 対談と往復書簡 志村ふくみ 用美社 1984.10/ちくま文庫 2001.2

 

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竹中英俊講演会「出版人福沢諭吉の素顔 明治150年から未来を振り返る」

講師 竹中英俊(元東京大学出版会編集局長、現北海道大学出版会相談役)

日時 2018年6月29日(金)18:00〜

場所 書肆吉成丸ヨ池内GATE店内ギャラリー

席料 500円

予約 要申し込み 電話011-200-0098 メール yosinariikeuchi@gmail.com

協賛 北海道大学出版会

 

【趣旨】

福沢諭吉についてはほとんどの人がその名前を知っているでしょうが、その福沢が《読む人、書く人、作る人、売る人》である総合出版人であることについてはどれほど知られているでしょうか。

150年前の1868年(慶応4=明治1)年、福沢は、それまでの英学塾を江戸の芝新銭座に移し「慶応義塾」と命名しました。同時に、独立自営出版を始め、これは「福沢屋諭吉」という屋号を持ち、1872年「慶応義塾出版局」に発展します。ここから有名な『学問のすゝめ』や『文明論之概略』が刊行され、さらに新聞を発行する「時事新報社」に改称し、『福翁自伝』や『福沢全集』全4巻も出しました。

今回の講座では、この総合出版人としての福沢について焦点をあて、1860年刊行の福沢の最初の著作『増訂華英通語』、1872年刊行の『学問のすゝめ』、1878年刊行の革装本『文明論之概略』などの原物「お宝本」をお見せしながら、本の未来を振り返ってみたいと思います。

 

【講演内容】(予定)

  1. わたしの歩み:出版人生活44年
  2. 日本の書籍出版:キリシタン版・古活字版から本居宣長・平田篤胤の出版まで

3. 福沢諭吉の歩み:《読む人、書く人、作る人、売る人》

⑴ 『増訂華英通語』

⑵ 独立自営自営出版「福沢屋諭吉」

⑶ 『学問のすゝめ』

⑷ 『文明論之概略』

⑸ 時事新報社

⑹ 丸山眞男

4. 本の未来を振り返る

5. 質疑応答

 

【竹中英俊氏プロフィール】

1952年生まれ。1974年から2015年3月まで東京大学出版会で出版に関わる。現在は、竹中編集企画室を主宰するとともに、東京大学出版会嘱託、北海道大学出版会相談役。(ほかに、吉野作造研究会代表、福沢諭吉協会会員、南原繁研究会会員、湘南科学史懇話会幹事、京都フォーラム評議員、咸生書院理事、アカデミックグルーヴ顧問など)

編集者としては「横断媒介」をキー概念として、人と人とを結ぶ出版の基点に立った編集企画を目指した。企画・編集に関わった点数は約450点。うち、海外で翻訳出版されたものは約70点。

 

【竹中英俊の「わたしの偏愛する表現者20人」】

山上憶良、大伴家持、世阿弥、芭蕉、蕪村、北村透谷、島崎藤村、吉野作造、佐左木俊郎、中江丑吉、折口信夫、海音寺潮五郎、鮎川信夫、田村隆一、吉本隆明、石原吉郎、高橋和巳、澁澤龍彦、白川静、斎藤眞

 

 

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