書肆吉成 syosiyOsinari*札幌 古書古本出張買取り致します。

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8号、ツメの段階
アフンルパル通信八号を刊行するにあたって、
最後のツメに入ってきている。
今回もまた、玉稿を賜る。執筆者の方々の想いの深さを感じつつ、
こういう原稿を冊子にできる喜びにひたすら感謝する。

朝吹真理子さんから、お葉書を頂戴した。
アフンルパル通信柒号がポストに入っていた時の喜びを伝えて下さる。
とても励みになるし、朝吹さんご自身の言葉への真剣さが
突き刺さるように胸に刻まれる。八号もがんばろう。

コーチャンフォーという新刊書店に、久しぶりに立ち読みに行く。
尾崎翠のムックが出ていた。津原泰水氏の文章を読む。
津原氏については、じつは「津原やすみ」の頃から愛読。
中学生の頃、同級生の女の子に薦められて読んだ、講談社X文庫。
以来「わたしのエイリアン」シリーズは全部読んだ。
すべて大事に透明なビニールカバーをかけて。
ニュージーランドにホームステイに行ったときも、鞄の中に。

大竹昭子氏の写真の見方のような本を立ち読みした。
「その瞬間の愛し方」を学ぶのが、写真の一つの見方と思った。
石川直樹さんの写真が二枚、小島一郎が一枚、プンクトゥム・フォトグラフィック・トウキョウのDMで眼に親しんだ写真もある。
写真と出会った瞬間に、
大竹さんの頭と感触をめぐった、そのままの言葉がいかにも的確で。



そのあとに、セバスチャン・サルガードの『人間の大地』を棚から取り出す。
大きな箱から大きな本を取り出す。
大きな扉を開くと、まず、言葉があった。
痛切な言葉。冷徹? いや、まっすぐな、これは希求の言葉だ。
現実を見よ、そしてその目に、そこに写された世界と同じ光を宿せ。
そして、希求するのだ、夢以外の、未開拓の、生きる場所を。




『人間の大地』の翻訳は、今福龍太先生。
わたしが最もお世話になった先生の一人。
心の中では、いますぐにでもまた私淑したいと思っている先生。
でも、今日、本を読んで、最も傾倒していた頃と同じ昂ぶり、
同じひらめき、熱、濃さが甦り、それを感じれて幸せと思った。
しばらく少し離れて、直接教えを請う事のない時が流れ、
かえって一層の切実さをもって、先生の言葉を読める。
まだ、これほどの集中力が自分の中に眠っている。
それを呼び出すのは、今度は別天地だ。

雑誌「すばる」浅野卓夫氏の文章がじつにいい。
師との交流が、じつにしっかりした筆致で書かれている。
歩み方が着実で、ブレない。サウダージ・ブックスの精神が
一本、ぴんと貫かれている。
きっと評判いいんだろうなぁ。すごくいい文章だもんなぁ。
巻末の執筆者紹介で「翻訳家」となっていた。う〜ん。
「聞き書き」もある意味「翻訳」カモシレナイ。

フォトグラファーズ・ギャラリーが
物凄い本を発行したのに、その本があまりにも圧巻過ぎて
なにも言えずにいた。
とにかく凄い本です。田本研造についての本です。
そのなかで谷口雅春氏が寄稿しているのを読みますと、
武林無想庵やイヴォンヌや、その近辺を描きつつ、露口啓二氏の写真に至りつく
優れた「北海道論」に、「植民地文化論」になっています。
この根無し草感。北海道へのステレオタイプイメージとの齟齬、皮肉な感情。
わが意を得たり、と膝をうって喜びました。そうそう、これこれ。
http://www.pg-web.net/scb/shop/shop.cgi?No=249
↑こちらで買えます。とにかく圧巻です。奇跡です。

アフンルパル通信の創刊号に文章をくれてもいた、
アイヌの友だちと、久方ぶりにお酒を飲んだ。
サシで飲むのは初めてかも。
彼は札幌が大キライ。人と人との距離が遠すぎるという。
そしてまた、こんなことも言っていた。

 清掃工場って、なんであんなに見た目がキレイなんでしょうかね。
 札幌も、見た目キレイですよね。なんか似てるんですよね。清潔感。

汚いものは、この北の地には似合わない。
イメージもキレイ、空気もキレイ、光もキレイ、言葉もキレイ。
ここは世界を浄化する土地。だからキレイじゃなきゃ。
汚いものは、なかったことにしよう。覆い隠そう、灰色のビルで。

カーボンオフセットという、地球温暖化対策のひとつで、
二酸化炭素を吸収する分を金で買う、というシステムがある。
CO2排出量の多い工場が、森や林に、自分の出しすぎた二酸化炭素を買ってもらって酸素にする、
というもの。
べつにそんな工場の為に、最初から森林があったわけじゃないのにね。
このカーボンオフセットの地として、北海道に熱いまなざしが集っている。
ギラギラした資本主義の眼差しだ。
森や林は、間引きされ、間伐されてゆく。
木々の緑が十分に光合成できるように、そうして陽射しがゆきわたる、キレイに割り切れる整除された林になる。
暗い木陰や、のばらのやぶや腐食の湿地は、姿を消すだろう。
それこそが、地球の環境に良いのだ、と資本主義は言うだろう。

キレイな北海道。
そうさ、もともと原生林なんかほとんどありはしないんだ。
自然は人間も含めた環境の中で、あたらしい「自然」となって生きていく。
自然破壊、なんてものはない。破壊じゃない。自分でやってんだ。自然はそんなにヤワじゃない。人間よりすごい。
そういう環境を作ってるんだ。砂漠を作ってるんだ。島を海に沈めてんだ。
ダムを造ってんだ、埋立地を造ってんだ。保水力の無い森、洪水する川。
人工的な生存環境を作ってんだ。キレイだ。それはとても衛生的だ。

坂本龍一さんが呼びかけていることは、とても貴重だと思う。
いまの世界に最も必要なことに声を上げているし、実践もしている。
本当に大事なことを知っているし、危機感も人一倍持っていると思う。
でも、でも。 カーボンオフセットの森。キレイな森。
本当にもう、そうでもしなきゃならない処まで、来てるんでしょうね。
きっとそうなのでしょう。
地方にとっても貴重な資源(財源)になるようです。
坂本龍一さんは北海道の森にわざわざ足を運んで、カーボンオフセットの森を実際に見て歩かれた……、新聞記事で読みました。
ル・クレジオのことを「かっこいい奴」と評しているのには思わず笑ってしまいました。
環境問題は、いまさら「自然とは何か」を問ういとまも無く、火急の処置を迫っている。
でも、でも。耳の奥に小声で低く問う声が聞こえる。「自然って、なんだろう」


さぁ、アフンルパル通信八号、いよいよ大詰めです。
今号に執筆してくれた方々は五十音で、

石川直樹
宇波彰
くぼたのぞみ
管啓次郎
関口涼子
文月悠光
題字・吉増剛造

(敬称略)

です!!!!
7月10日発行予定です。
どうぞお楽しみに!
| - | 01:20 | comments(3) | trackbacks(0)
新札幌の古書の街、今日から!
新札幌駅直結の紀伊国屋書店前の広場にて、
三日間の古本市が今日からスタートです。
これから陳列に行かなければなりません。今日は徹夜です。
地図や紙モノ、小冊子や絵葉書を持っていきます!
いい本たくさんです。みなさん是非お越し下さい!

なお、吉成は29、30、31日のうち、
なか日30日の14:00-18:00の時間帯を店番しております。
ぜひお気軽に声をかけてください。
| - | 06:25 | comments(0) | trackbacks(0)
本棚を26基、増設しました。
書肆吉成は江別の倉庫にこれまで山のように積み上げていた本を移動し、
あらたに本棚を26基、増設しました。筋肉痛の毎日です。
これから本を倉庫に戻していきます。
そのまえにすっきりしたところで写真をパチリ。


これからどんな本がこの棚を埋めていくのでしょう。。たのしみです!

ピンク色の本は
今福龍太・サウダージブックス編著
『ブラジルから遠く離れて 1935-2000』(港の人2009)

注文は→サウダージブックス(http://sea.ap.teacup.com/saudadebooks/89.html
| - | 23:09 | comments(0) | trackbacks(0)
宇波彰せんせい、新刊



宇波彰先生の新刊、『書評の思想』が発売されております。
書評を集めた本ですが、一篇一篇は一口で読めますが、どれも味わい深いものです。
短めの本の紹介のなかで、にじみ出てくるものがあり、
本の海の深さ、広さを感じられます。
ぜひお買いになるか図書館へリクエストしてでも、
いちどお手にとって見てください。けっこうブ厚いです。
| - | 22:51 | comments(0) | trackbacks(0)
写真東川賞おめでとうございます。
5月21日の新聞記事に東川町の写真賞のことが掲載されてました。

国内作家賞は柴田敏雄さん
海外作家賞はアン・フェランさん(オーストラリア)
特別賞は露口啓二さん
新人作家賞は石川直樹さん

授賞式は8月1日
同日から9月6日までギャラリーで作品展。

露口さん、石川さん、おめでとうございます!
| - | 22:42 | comments(0) | trackbacks(0)
つぎは新札幌で古本市です。
今月末の、金・土・日の三日間、29-30-31日
新札幌駅直結の紀伊国屋書店前で古本市を開催いたします。
前回好評だったためでしょうか、期間が三日間にのびました。
うれしいことでございます。
ラルズとはまた違った品揃えで望みたいと準備中です。
どうぞお楽しみに!
| - | 23:49 | comments(0) | trackbacks(0)
Te Pito Records、宇宙をコンポーズする
もう何回も何回も聞いてます。
ずっとかけてます。すごい好きです。こればっかり聞いてます。

宮木朝子さんによるレーベルが生まれました。
その名も「Te Pito Records」。

私にとっての宮木朝子さんは、
奄美自由大学での妖精のようなたたずまいと歩き方。
洞窟でならす緻密な音響。
夜の小型船で島から港へ渡ったときに、風に吹かれながら聞かせてくれた
ドーバー海峡の海の夜のはなし。
高橋悠治さんと話をするときの音楽家の表情。そして笑顔。
(あの時はヨンジュのした質問が良かったんだよなぁ)
アフンルパル通信に毎回かならず感想を送ってくださる丁寧さ。
その感想のなかで、前々からレーベルを立ち上げることをお知らせ下さっていたのでした。
それからの年月をへて、ようやっと、念願のと言っていいのでしょう、満を持して
そして、驚異のレーベルをたちあげました。

Te Pito Records」。
名付け親は管啓次郎せんせい。
第一弾はCD&DVDで、宇宙を含めた世界の音像を奏でた2枚組みをリリースです。
「Virtual Resonance -sound image for 4D2U」という不思議なタイトル。
雅楽と電子音響、氷やガラスの現実音による透明な音響世界(帯より)が、
静かに、繊細に、明滅と生成をくりかえします。



ヴァーチャル・レゾナンスを直訳すれば、「仮想・反響」となるのでしょうか。
たしかに人はこの音源に、世界の「仮想的な響き」を聞くこともできます。
そしてその透明感は、神秘の湖のように美しく、人を深い霧の深い夢の庭に誘います。
「光の響き、音の輝き」と、
言葉としては矛盾するような言い方がぴったりのダイナミズムをもった音と像です。

しかしさらにこのCD&DVDは、「Resonance」がもつ「共鳴」の他の、もう一つの意味のダイナモに触れさせてくれます。
それは「尽数関係」と訳される、天文学用語です。
たまたま見つけたサイトによると、
「尽数関係」とは
「天体の自転や公転周期が簡単な整数の比になっていること」を意味するそうです。
「その原因は天体間の引力ですが、太陽と地球、地球と月といった単純な2体問題ではなく、複雑な3体問題かあるいはそれ以上の多体問題になっていることもあり、数学的に厳密な解が得られない不思議な現象でもあります。」と紹介されています。
http://www.geocities.jp/planetnekonta2/hanasi/resonance/resonance.html

世界のあらゆる関係の「引力」に引き寄せられながら、厳密な解が得られないくらい複雑なのに、シンプルな整数の比になって回転しているという、「レゾナンンス」(=響き)。

このビジョンは天文学の惑星の数学のものですが、地球も一個の惑星であり、そのうえに私たちは、ひとりひとり楽器のように生きているのもたしかなのです。宇宙というとなにか途方も無いスケールのお話のようですが、私たち一人一人と宇宙の幾何学はそのまま物理的につながっています。石ころも、朝露のしずくも、海岸の波のカタチも、複雑でシンプルな宇宙の幾何学をもっているのです。

真空空間に音が響かないのは、小学校で習います。
では宇宙に音楽はないのでしょうか?

宮木朝子さんの「Virtual Resonance」は、この調律された宇宙の比率の、高度に複雑な関係性の響きをコンポーズしているのです。
このCDは国立天文台4次元デジタル宇宙シアターの宇宙映像用音楽をベースにエレクトロニカ・リミックスされたものです。
目を瞑って、心をしづかにして、耳をひらいて聴いてみてください。
「世界の響き」、その抽象的ではなく元素的な宇宙のヴァーチャルである、この音源を。

http://www.te-pito-records.com/
(DVDの映像がまたすごいです。こんな映像表現があるだなんて!)
| - | 22:25 | comments(0) | trackbacks(0)
狸小路ラルズ古本市、4月29日〜5月12日
恒例の古本市です。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
今回の書肆吉成は在庫整理も兼ねて、安値をつけてたくさん出そうと思っております。
アフンルパル通信も既刊分を販売します!
どうぞお楽しみに!

営業時間は10:00〜20:00
ラルズプラザ8階
札幌市中央区南2条西2丁目(狸小路2丁目)


ちなみに吉成の店番の日は下記の三日です。
5月1日(金)
5月6日(水)
5月9日(土)

ぜひいらして下さい!
| - | 11:43 | comments(0) | trackbacks(0)
サウダージブックスと川へ行きました。
サウダージブックスの浅野さんが
ご家族で札幌にいらしたので、
せっかくだから少し遠くにでも行きましょうと、
二風谷にお誘いしました。

(浅野卓夫さんは明後日から2daysで札幌上映がはじまる岡村淳監督とも
縁が深い方です。「すばる」誌上での聞き書きは秀逸でした。)

http://sea.ap.teacup.com/saudadebooks/85.html
↑とってもステキな写真が掲載されてます。いつの間に撮ってたんだろう。

沙流川の河口にまず行き、そこから遡上して、ダム湖に行きました。
春でしたので草木も低くてよい見通しの旅でした。
とても気持ちよく、楽しい旅行でした。
浅野さんのおかげで、道中の車のなかは刺激的な話の連続でした。

サウダージブックスでは、
今福龍太先生の新刊『身体としての書物』を編集し、
書物の誕生に色濃くかかわって、その運動をさらに様々に展開しています。
書物の、「出版」という行為を最大限に引き伸ばそうとしているように
私には感じられます。
葉山のうみやまのあいだ、半島のなぎさの海陸のあいだ、
そのすばらしいロケーションから書物が生まれ、移動してゆく様は
書物にとっても本当に幸せなことのように私の目に映ります。
本が編まれ、カタチをなし、他の多くの本の海のなかに投げ込まれ、なお独自の光を放ち、運動を繰り返してゆく書物のプロセスの全体を、サウダージブックスは生きようとしているのだと思います。

筆者にとって、本は書くもの。
出版社にとって、本は造るもの。
取次ぎにとって、本は配分するもの。
書店にとって、本は売るもの。
読者にとって、本は買って読むもの。もしくは持ち歩くもの。
学生にとって、本は勉強するだけのもの。
古本屋にとって、本は買って売るもの。
チリ交さんにとって、本は集めて紙にするもの。
でも、果たして本当にそれだけ?

サウダージブックスと『書物としての身体』は、そんな窮屈な本とのかかわりを内破し、世界全体へと渦をまいて開いていこうとしているかのようです。
とてつもないプロジェクトです。

その書物への関わりが具体的にはどんな活動へ、生き方へと結ばれるのか、
サウダージブックスから目を離せないは、私には抱えているだけの「本の夢」を
彼らが本気で真摯に生き抜こうとしているからであります。
| - | 18:34 | comments(1) | trackbacks(0)
ジュンク堂新宿店で、アフンルパル通信。
関東方面にお住まいの方々にお知らせいたします。

4月15日〜6月15日の期間で開催される、
ジュンク堂書店新宿店の「北海道フェア」で
アフンルパル通信の既刊分7号までを各号三冊ずつ販売されます!
(増刊号は本のサイズの関係で展示できない為、卸せませんでした・泣)
ぜひお手にとって見て下さい!


↓宣伝
書肆吉成では、古本と小出版業を営んでおります。
買取は随時お待ちしておりますので、
080-1860-1085までお電話下さい。
札幌市・江別市・小樽市・岩見沢市などの近郊は出張買取いたします。
道外の方は、まずはお電話いただけますと幸いです。
古本屋と、出版の両方へのご愛顧のほど、心よりお待ちしております。
| - | 18:12 | comments(0) | trackbacks(0)
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