札幌の古本屋の窓辺から 〜古書出張買取りの書肆吉成

北海道札幌市の古書店・古本屋です。専門書・学術書・美術や趣味の本など古本古書を買取ります。出張買取もしております。
札幌市東区北26条東7丁目3−28 011−214−0972
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  営業時間・平日10時〜17時(日祝は12時〜17時)

 古本古書出張買取り致します。
 お気軽にご連絡下さい。
 
ラウンジに選書と展示をしました。定山渓温泉ぬくもりの宿ふる川さん

 

ラウンジに選書と展示

 

定山渓温泉ぬくもりの宿ふる川さん8階に2019年9月1日に新しいラウンジがオープンしました。書肆吉成は「心のなかの木を育てる」というテーマで約200冊の本(詩集、絵本、写真集など)を精選し展示しました。

 

 

眺めのいいガラス張りの高層階に緑豊かな植栽と足湯、おいしい飲み物、厳選された書物たちがお出迎え。お客様の心と体のくつろぎの時間を演出します。

ぜひお越しください。

 

 

選書します。

 

当店ではお客様のご要望に合わせた選書、展示を承ります。

並べたい本のテーマ、場所、冊数、ご予算をお伺いし、新刊書、古書のなかからベストマッチを演出します。

ぜひ一度お問い合わせください。

 

選書に関するお問い合わせ電話番号=080-1860-1085(吉成)

 

| - | 09:18 | - | - |
書肆吉成池内店の一年を振り返って

極寒だった札幌の外気はほのかにゆるみ、春が待ち遠しい季節となりました。

お陰さまで弊店は2月10日で一年を数えることができました。こんなに寒い時にオープンしたのだとあらためて気が付きます。一年前は開店に必死であまり憶えていません。9月6日の北海道大地震ではたくさんのご心配をいただきました。多少の被害がありましたが、停電から復旧してからは池内店のほうはぶじに営業に復帰できました。

古本の買取にも恵まれ、お店を運営してゆけております。

皆様にご厚情をいただきましてこの一年の営業ができましたこと、心より感謝申し上げます。

至らない点も多々あるかと存じますが、今後も変わらぬご愛顧をいただけましたら幸いです。何卒宜しくお願い申し上げます。

 

 

2018210日の池内店オープン記念として、ギャラリーコーナーでは私の敬愛する詩人・吉増剛造先生の展示からはじめることができましたことは大変な喜びでございました。この一年で以下の展示を実現できました。

 

吉増剛造『火ノ刺繡』展&トーク 2/104/26

金子遊『混血列島論』展&トーク 4/295/25

大久保草子・今福龍太『ないものがある世界』展&トーク 5/266/29

宇佐見英治『言葉の木蔭』展&トーク 7/17/28

すずきまいこ『いつもおまえの気配をさがしていた』展&トーク 7/318/23

久住邦晴・クスミエリカ(くすみ書房)『奇跡の本屋をつくりたい』展&トーク 8/2810/4(協力・カジタシノブ)

港千尋・岡部昌生「『風景論』特別版・木の物語」展&トーク 10/511/11途中展示替え(協力・小室治夫)

松尾真由美・森美千代「『花章』から『雫たちのパヴァーヌ』へ」展&トーク 11/201/19途中展示替え

森雅之・森環「あまい森 にがい森」展 1/212/3

大友真志「Mourai」展&トーク(司会・谷口雅春 対話者・露口啓二)2/43/10(開催中)

 

トークイベントにも多くの方々にご来場をいただきました。

上記の展示関連以外では、下記のトークを開催しました。

 

夏葉社・島田潤一郎トーク「小さな出版社のしごと」 3/2

初谷むい『花は泡、そこにいたって会いたいよ』刊行記念トーク(聞き手・山田航) 4/25

竹中英俊「出版人福沢諭吉の素顔」(書物文化協会) 6/29

木下龍也・岡野大嗣『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』トーク(初谷むい・石井僚一・ナナロク社代表村井光男氏も登壇/月夜野みかん企画) 7/77/8

浅生鴨『どこでもない場所』(左右社)重版記念トーク 10/30

帷子耀・金石稔『帷子耀習作集成』刊行記念トーク 11/21

山口拓夢・竹中英俊・加賀谷誠「山口昌男『古本的思考』」刊行記念トーク 11/22

 

『奇跡の本屋をつくりたい』展では出版にかかわった中島岳志、三島邦弘、矢萩多聞、クスミエリカの各氏ほかに、堀川淳子さん、塚田敏信さんにもご発言いただきました。このときは200名近いお客様にご来場いただき、立錐の余地もない超満員となりました。また第二弾トークとしてライター佐藤優子さんの司会で荒井宏明(ブックシェアリング)、加納あすか(かの書房)両氏によるトークが開催されました。一連のイベントの熱気をうけてエッセイ「久住さんのこと」を『ちゃぶ台vol.4(ミシマ社)に寄稿しています。

 

飯村宏美さんが弁士として、無声映画上映会が「キートンの鍛冶屋」(8/24)、「鯉名の銀平 雪の渡り鳥」(阪東妻三郎主演)(12/31)の二回上演されました。大晦日の上映は特にすばらしかったです。

 

「絢の会」(小山美千代さん、神崎かをるさん)による朗読会(11/26)にもたくさんのご来場をいただき、後日新聞記事で大きく紹介されるなど反響の多い充実の会となりました。

 

レギュラーイベントとして「バクの事務所」(石橋玲・田中智康)のお二人による朗読会(ゲストにニシムラタツヤさんがいらしたこともありました)、勝田翔太さんを中心としたビブリオバトルが定例イベントとしてじょじょに定着してきています。また、田中美智子さんの月例朗読会が2/14より始まりました。

 

個人的には、北海道新聞「ほん」欄に池内店オープンの記事を大きく掲載いただけたこと、朝日新聞朝刊「北の文化」に店舗オープンの経緯と意気込みを寄稿(4/21付)したこと、『全国旅をしてでも行きたい街の本屋さん』(株式会社GB)、「O.tone113号、ミニコミ「心のおとなりさん」no.19にお店を紹介いただけたこと、桜木紫乃『ふたりぐらし』、黒井千次『流砂』の書評を北海道新聞に寄稿できたこと、シアターキノで佐藤泰志原作の映画「きみの鳥はうたえる」(三宅唱監督)アフタートークをしたこと、露口啓二さんの「さがみはら写真賞」受賞記念会で露口啓二写真集の出張販売をしたことが印象深いです。

最近ではウェブ「北海道マガジン カイ」にてライター谷口雅春さんによる熱意ある紹介を頂戴し、大いに励まされました。http://kai-hokkaido.com/feature_vol42_bookstore1/

 

イベントのたびに著者や作家の方々にサイン本を作っていただき販売することができました。なかでもっとも有難かったのは、吉増剛造先生に大量のサイン本をつくっていただいたことです。詩集の見返しに署名を頂戴しながらゆっくりと様々なお話をお聞かせいただいたあの時間は生涯の宝です。(その翌日、吉増先生は北海道立文学館で『火ノ刺繡』刊行イベントで工藤正廣さん、高橋純さんと充実の対話をされました(旭川の柴田望さんらの詩誌「フラジャイル」3号に収録)。このときのお話もすばらしかった!)

また、港千尋『風景論』には、美術家の岡部昌生さんがオリジナルフロッタージュ栞を「スペシャルおまけ」として作成下さったことも、奇跡のようなことでした。

文月悠光さんに久しぶりにお会いし、サイン本をつくって頂いたのも嬉しいことでした。

 

お客様あってのこのお店であると、感謝の気持ちでいっぱいです。新刊・古本・ギャラリーイベントのいずれにつきましても、これからも充実の仕事をしてゆきたいと思っております。またお気軽に遊びに来て下さい。

今後ともなにとぞ宜しくお願い申し上げます。

 

店主・謹白

| - | 16:28 | - | - |
『半島論』(響文社)刊行イベントVol.5「サハリン島の先住者たち」金子遊(批評家・映像作家)×井上紘一(北海道大学名誉教授)

<書肆吉成・刊行記念イベント

 

『半島論』(響文社)刊行イベントVol.5

 

サハリン島の先住者たち
 

金子遊(批評家・映像作家)×井上紘一(北海道大学名誉教授)

 

<企画趣旨>

 札幌の出版社である響文社から刊行された『半島論』のトークイベントが好評を博しています。列島各地の半島における文学やアート、民俗や歴史を論じた同書について、これまで東京、横浜、京都、熊本で執筆者たちによるトークが開催されてきました。
 第5弾となる札幌会場では、編者の金子遊が、樺太アイヌの言葉を採集した金田一京助と津軽半島のミッシングリンクを、ユーカラのなかに探りだします。トークのお相手には、シベリアや樺太島で先住民文化とピウスツキの研究をしてきた、北海道大学名誉教授の文化人類学者・井上紘一さんをお迎えします。



<イベントの詳細>

 

日程:201932日(土)15時〜

 

場所: 書肆吉成・丸ヨ池内GATE6店内ギャラリー

   〒060-0061 札幌市中央区南1条西2丁目 IKEUCHI GATE 6F

席料:500円(税込)
問合せ電話:011-200-0098
ご予約:お名前 ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号) 参加人数を明記のうえ、yosinariikeuchi@gmail.com まで

 

金子遊(1974年、埼玉生まれ) 批評家、映像作家。慶應義塾大学非常勤講師。『半島論 文学とアートによる叛乱の地勢学』(2018年、響文社)の編者。『映像の境域』(2017年、森話社)でサントリー学芸賞<芸術・文学部門>受賞。他の著書に『辺境のフォークロア』(2015年、河出書房新社)、『混血列島論』(2018年、フィルムアート社)、『悦楽のクリティシズム』(2019年、論創社)など。

井上紘一(1940年、東京生まれ)、北海道大学名誉教授。北方ユーラシア専攻の文化人類学者、シベリア・中国東北部・樺太島などでフィールドワークに従事。半世紀以上にわたってブロニスワフ・ピウスツキの研究を推進する。主要著作:K. Sawada & K. Inoue (eds.), A Critical Biography of Bronisław Piłsudski, Vols. 1-2 (Saitama, 2010)『ブロニスワフ・ピウスツキのサハリン民族誌〜二十世紀初め前後のエンチウ、ニヴフ、ウイルタ』(東北アジア研究センター叢書第63号、仙台、2018)など。
 

| - | 19:24 | - | - |
東区本店でアルバイトを募集します。古本屋の一日。

書肆吉成では、現在アルバイト店員を募集しております。

本が好きな人、古書店業に興味がある人はぜひご応募ください。

 

仕事内容は古書店業務全般となります。

古本屋の一日はだいたい以下の通りです。


朝は店内外の清掃にはじまります。モップがけ、雑巾がけ、トイレ掃除、(はたきをかけるかわりに)ブロアーで本のほこりを飛ばします。本のほこりを落としながら、店内のどこにどんな本があるのかを復習します。夏場はそとの除草、冬場は雪かきもあります。
お店は10時開店です。時間になったらシャッターを開けます。

節電の為2階はふだん電気をつけず、来客があれば「いらっしゃいませ」の掛け声とともにすぐさまスイッチを入れて2階を明るくします。お買い上げのお客様にはレジで商品と代金のやりとりをします。お客様の「こんな本が欲しいんだけど・・」「こんな本を売りたいんだけど・・」などご要望に受け答えをする接客があります。

お客さんがいないときは、精算レシート、領収書、買取伝票をノートに張り付けるといった簡単な事務作業や、本棚の整理もあります。

 

しかしなんといってもいちばん多く手間がかかるのが古書の通信販売業務です。

PCを起動してメールをチェック。

注文状況や、問い合せの有無を確認します。

注文のあった本を書架から取り出してきて、本の状態を確認します。登録のときに入力した状態と異なる瑕疵が見つかった場合はお客様に知らせるなどの対応が必要となります。「日本の古本屋」サイトからの注文は、お客様に送料を案内します。札幌市街のIKEUCHI GATE6F店、江別市、恵庭市にある支店や倉庫とメールのやり取りが必要になることがあります。

精算がすみ注文が確定したら梱包です。納品書を同封してビニール袋とクッション材と茶封筒に注文書を包み、そのうえに宛名を貼ります。注文数が多いときはひたすら梱包の単純作業がつづきます。

夕方前には集荷の人がくるので、それまでに梱包のできた商品を重さごとに数えて表に記入し、お客様へは出荷の案内通知を出します。これが受注・梱包・発送の作業です。

通信販売業務はそれだけではありません。本の登録があります。

最初はぞうきんタオルで本の拭き掃除をしながら状態を確認し、線引きや書き込みがないかをチェックします。慣れてきたら値付けもしてもらいます。いくつかのサイトを参考にしながら状態に合わせた価格を決定していきます。登録した本に値札を貼り、ジャンル毎に店内の本棚に陳列します。

 

そのほか、店頭には本を売りたいと言うお客様が本を持ちこんで下さいます。買取です。

買取価格の査定は、販売価格の値付けより難しいので、これはほとんど店主の吉成が担当しています。

店主が出張買取などで店を留守にしているときは、冊数が少なければ店主に電話で本のタイトルや状態などを伝えて査定額を決定します。冊数が多ければお預かりさせてもらえるか諒承をいただき、後日査定額をご案内して精算します。

買取査定の難しい傾向の本と、慣れれば簡単な傾向の本があります。

簡単なものから査定もできるように、時間をかけて覚えてもらいます。

 

ほか、途中に休憩や銀行や郵便局での記帳(精算確認)をはさみながら、

たくさんの本をあっちに持っていったりこっちに持っていったりする仕事が日常的につきまといます。

本の詰まって重くなった段ボール箱を運ぶのはけっこうな力仕事です。

 

このようにして、古本屋の一日は意外と忙しく時間が過ぎてゆくのです。

一日の終わりは、レジを精算し、出勤簿を記入し、電気を消し、火の元、水の元を確認したらシャッターをしめて施錠。これで18時です。

 

これに加えて冬になれば雪かきがあり、数カ月ごとにチカホなど市内各所で行われる「古本市」の準備や設営・運営にかりだされることもあります。

 

以上のとおり、暇なイメージのある古本屋さんですが、じっさいは結構いそがしく、また業務内容が多岐にわたります。

知的労働もあれば、単純作業もあり、事務作業も若干ありますし、接客もする。さらに力仕事まであるのです。

こうやってあらためて文章にしてみると、いやはや、大変ですね。

本が好きだから、古書の世界に興味がある、・・・仕事は大変かもしれないけど、やってみたい! という方がいらしゃっれば、嬉しいです。

 

古本屋の仕事をとおしてたくさんの本に触れ、本の世界の広大さと奥深さを学びながら、一冊でもおおくの本をあたらしい読者のもとへと送り返すことができるよう、ぜひいっしょに働きましょう。

意欲のある人のご応募をこころよりお待ちしています。

 

 

勤務地 札幌市東区北26条東7丁目3−28 書肆吉成店舗

時間 9:00〜17:00 休憩45分 週4〜6日。月24日前後の勤務

募集人員 若干名

時給 850円〜(試用期間3カ月は835円)。昇給あり

労働保険(労災保険・雇用保険)加入

交通費 実費支給

車通勤OK

メールか電話にてご連絡ください。店頭で面接をします。

電話 011−214−0972(営業時間内にお願いします。平日・土曜日は10時〜17時。日曜・祝日は12時〜17時)

メール yosinari@snow.plala.or.jp

| - | 19:43 | - | - |
くすみ書房の本棚のこと

くすみ書房から引き継いだものがある。

ねずみ色のスチール製の本棚だ。

東区本店とIKEUCHI GATEの2つの店でぎっしりと本を並べているそれらは、

くすみ書房大谷地店が閉店するときに貰いうけた。

2015年6月。突然のクローズの報せに、皆が驚いたあの日からすでに3年が過ぎ去った。

 

IKEUCHI GATE6F店のねずみ色の本棚には茶色いサビがういている。

ピカピカだったくすみ書房の棚は、この店ができるまでの約2年半のあいだに札幌市内の車庫、アパートの一室、小樽市の一軒家と場所を移し替えたが、そのなかで棚は急速に古びていった。

サビが出始めたことに、私はとちゅうから気づいていたが、そのときはどうすることもできなかった。

わざわざ久住さんにお願いをして貰いうけたものだが、じっさいには本棚を設置する場所がなかったのだ。

使う予定のない本棚は、大量の鉄の固まりとして倉庫の暗がりのなかで沈黙していた。

置き場所に困るといえばその通りで、持っているだけで毎月家賃がかかるのだから、早々に処分するのが通常だろう。

しかし、私はそれを捨てる気になれなかった。

どうにかして、生かしたかった。

もう一度この本棚に本を並べたかった。

 

「鉄製の本棚は冷たいかんじがして好きじゃないんだ」

くすみ書房が経営危機に直面したとき、打開策としてクラウドファンディングで資金を集め、それで店内のリニューアルをおこなった。

目玉は、木製の特注本棚の設置だった。

くすみ書房を訪ねると、いつも久住さんは私に今後の展開、構想を楽しそうに話して聞かせてくれた。

そのときは、どこかの書店の写真を見せてくれながら、こんな本棚を作ろうと思っているんだ、と教えてくれた。

その本棚は大きい枠組みで背板がないため本棚の向こう側が見える造りになっていた。

明るく、温かみがあり、風通しのよい本棚に、本がゆったりと、丁寧に並んでいた。

 

鉄製の本棚は棚の高さが変えられるので、効率的に本を並べることができる。

文庫本の高さ、単行本の高さにぴったりと合わせられて、滑りもいいので本の入れ替えも楽だ。

しかし、木製の棚はそうはいかない。決して効率的ではない。

にもかかわらず、久住さんは木の本棚のぬくもりを選んだ。

 

くすみ書房の閉店を惜しむ人でごった返すなか、

私は忙しそうに行き来する久住さんを掴まえて、

図々しいお願いですが、この鉄製の本棚を頂戴できませんでしょうかと、申し入れたとき、

久住さんは嫌な顔ひとつせず、二つ返事で了承してくれた。

私は、背が高くて本をたくさん並べられるタイプの本棚だけ貰えれば、自分の店や倉庫で効率的に本を保管できると思っていた。

ところが久住さんは、背の低い本棚や、雑誌の表紙面を陳列する棚を指さして、これも持っていくよね、と当然のように言った。

今度は私が二つ返事をする番だった。

 

いよいよくすみ書房の閉店時間が過ぎたとき、久住さんは最後まで残ったお客さんに向かって挨拶をしたようだが、私は立ち会わなかった。

私はどこかで「まだ終わっていない」と思っていた。

終わらせてはならない、閉店の言葉など、この耳に入れてはならない。

なぜなら、私はこの本棚で、これからも本を売り続けるのだから。

 

本棚を解体して、どうにか手配した車庫に運び出す作業は夜中おこない、記憶ではたしか二晩を要したはずだ。

木製の特注本棚については、また書店を再起したときに使うつもりだからこれはあげられないよ、と久住さんから言われたとき、うれしかった。

くすみ書房が再起できる目算があるのだと思ったから。大きな希望を感じた。

しかし、その後くすみ書房の倒産が報道され、負債総額が約5億円と知ったときは心臓が飛び出るほどに驚いた。

再起なんてできるのか・・・?

それからはきっと何かと忙しいだろうと、こちらから久住さんに連絡をとるのを控えた。

本当のことをいうと、どんな顔して会えばいいのか、わからなかったのだ。

 

翌年8月、書肆吉成はわずかな距離だが(道路を挟んだ斜め向かいへ)移転することになった。

その際に、車庫やアパートの一室に詰め込んでいた本棚の一部は移転先で利用することができた。

はじめは人目につかない倉庫で利用するつもりだったから、お客さんの目に触れるお店で使えることになっただけでも望外の喜びがあった。

しかしなお、新しい店に設置できなかったもの、背が低い棚、雑誌を面出しする棚が倉庫に残された。

 

その翌年、2017年2月23日。私はひさしぶりに久住さんに電話をした。

本棚のお礼をしたかったのだ。円山茶寮という喫茶店で会うことになった。

久住さんはちょうどその前月頃かに裁判所での債務免除がおわったと言って、閉店からこれまでどんなふうに過ごしてきたか一通りを聞かせてくれた。すさまじい苦労があったことがわかるお話だったが、それでも久住さんは深刻がることなく、淡々と、ときにはユーモアさえ交えてお話してくれた。すごい精神力だとおもった。

さらに、これから出版社との直接取引で新しい本屋を作るつもりだと、今後の構想を話しはじめた。

ちかく京都へ本屋の視察に行いくと。店の名前も考えている。Books Greenというミシマ社の本があって、その名前がいい。

原稿も書いていることも教えてくれた。

 

半年後の葬儀で、私は号泣していた。

 

2018年2月、書肆吉成IKEUCHI GATE6F店がオープン。くすみ書房の本棚がすべて甦る。

このあたらしい本屋がはじまって、6ヶ月が経った。

 

2018年8月28日。久住邦晴さんの命日に、新刊『奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの』がミシマ社より刊行される。

その刊行を記念して、書肆吉成IKEUCHI GATE 6F店内ギャラリーにて「くすみ書房」展を開催。

そして発売日に合わせてトークイベントを開催する。

中島岳志さん、矢萩多聞さん、三島邦弘さん、クスミエリカさんが登壇する。

 

くすみ書房から、私はまだ引き継ぎたいことがある。

だから、久住さんがいったい何を考えていたのか知りたいと思う。

私もまた一人の「町の本屋」であり続けるために。

| - | 20:06 | - | - |
木下龍也×岡野大嗣「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ in SAPPORO」

木下龍也×岡野大嗣共著歌集刊行記念

「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ in SAPPORO」

 

7月7日(土)18:00〜 岡野大嗣×初谷むい(トークと朗読&サイン会)


7月8日(日)17:30〜 木下龍也×岡野大嗣・Opening Act石井僚一(トーク&サイン会)

 

参加料金

1日のみ/1000円(税込)

2日通し/1500円(税込)

※ともにトークレジュメ&お土産つき!

 

ご予約(書肆吉成)

電話011-200-0098(10:00〜20:00)

メール yosinariikeuchi@gmail.com

 

場所 書肆吉成丸ヨ池内GATE6F店

札幌市中央区南1条西2丁目18 IKEUCHI GATE 6F

 

 

木下龍也と岡野大嗣の共著歌集、『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』(ナナロク社)の作中舞台となる日付(7月1日ー7日)にちなんで、7月7日と翌8日に、札幌で刊行記念イベントを開催します。

スペシャルゲストは初谷むい、石井僚一!

書籍は、書肆吉成池内GATE店の店頭にて販売中です!

 

【著者紹介】

木下龍也(きのした・たつや)

1988年1月12日、山口県生まれ。歌人。2013年に第一歌集『つむじ風、ここにあります』を、2016年に第二歌集『きみを嫌いな奴はクズだよ』を出版。同じ池に二度落ちたことがある。

 

岡野大嗣(おかの・だいじ)

1980年1月1日、大阪府生まれ。歌人。2014年に第一歌集『サイレンと犀』を出版。反転フラップ式案内表示機と航空障害灯をこよなく愛する。

 

『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』(ナナロク社)

 

挿込小説:舞城王太郎
装画写真:森栄喜

装丁:大島依提亜
判型:B6判変形 上製 136ページ
定価:1400円+税
発刊:2017年12月
ISBN:978-4-904292-77-8 C0092

 

 

書店info:書肆吉成では本の買取をいつでも承っております。ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

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